立ち並ぶ建築物を見上げて少年は言葉を漏らす。

「ここが、武蔵野学園吉祥寺キャンパスかぁ。でっかいねぇ。」
「わふっ」

少年の言葉に同意するように、彼の足元で大人しくしていたハスキーに似た犬が鳴く。

「こまもそう思う？
　そういえば、此処にはこまのお仲間いるのかなぁ。お友達できるといいね！」
「わうっ。わっふわふ、がーぅ。」
「うんうん、ぼくもお友達できるといいなぁ。」

どうやら、少年と犬の間には会話が成り立っているらしく。門をくぐり、互いに会話を進めながら建物の一つに姿をけした。





余談ではあるが、
己の入ったクラスに他に級友がいないことに少年が唖然とするのは、20分後の事である。

「え？・・・ぼく、ぼっち？」
「くぅぅん」